tosa

【第十二回】テイル 2

2019.08.01


こじゃんと日が空いたぜよ。すまざった。
第一回目の投稿では「テイル」について土佐弁に関連付けてお話しました。
今回は再開にあたって別の角度から「テイル」について考えてみたいと思います。
では、さっそく始めましょう。


皆さんは、「戸が開いている」と聞いたとき、また、「戸を開けている」と聞いたとき、それぞれどのような状況を思い浮かべますか?
「戸が開いている」は「戸が開いている」= 「戸が開いた」状態を、「戸を開けている」は「誰かが戸を開けている」状況が想像できますよね?
しかしこの「戸を開けている」って、「今誰かが戸を開けている」状況と「既に誰かが戸を開けてある」状況でちょっと悩みませんか?
日本語の文法では、一般的に次のように説明されています。

主体(主語)が変化する(テイル)= 状態 (完了)
対象(目的語)が変化する(テイル)= 継続 (進行)

これをあてはめると、「戸を開ける」は開ける人間に変化はなく、対象である「戸」の状況状態が変化するので、「戸を開けている」「継続」の意味になるということがわかります。

では、次の英文を見てみましょう。
私が翻訳チェックをしていて、実際にあった例です。

In December 2015, AAA acquired BBB , expanding the company’s portfolio of processed food and frozen food products.

2015年12月、AAAは、BBBを買収し、これにより、加工食品と冷凍食品の製品ラインを拡大しています。

expanding の訳文に「テイル」が使われています。まさか ~ing だから「テイル」を使ったわけではないでしょうが、だからといってこの「テイル」が「状態」の意味になるのでしょうか。
そもそもこの英文は、2015年12月に起こった製品ラインの拡大という過去の事実を述べています。「~BBBを買収し、~製品ラインが(を)拡大しました」ということです。
いっぽう、「ラインを拡大しています」は、最初の分類でいうと、

対象(目的語)が変化する(テイル)= 継続 (進行)

に該当するので、「今も拡大し続けている」という意味になります。
もしかすると、AAA社は企業努力が実り、現在も生産ラインが拡大し続けているというのが事実かもしれませんが、少なくとも英文にそう書かれていない以上、訳をそうすべきではありません。

ここで「テイル」が状態を表す場合をまとめておきます。

1) 瞬間に完結する動作 + テイル
    「消える」「到着する」
    -->消えている、到着している

2) 主語の状態変化を表す動詞 + テイル
    「止まる」「開く」
    --> 止まっている、開いている

3) 目的語の状態変化を表す動詞の受動形 + テイル
    「飾る」「開ける」
    飾られている、開けられている

    ×花を飾っている
        --> テーブルに花が飾られている
    ×戸を開けている
        --> 戸が開けられている

では、ここで問題です。

If you haven't created any sites yet, the site list will be blank.

サイトを作成していない場合は、サイトリストは空になります。

こういう訳文よく見かけませんか?
しかし、これは間違いです。
なぜなら、継続を意味していない英文に対し、継続を意味する訳文が付けられているからです。
「サイトを作成していない」というのは、いちばん上の分類の

対象(目的語)が変化する(テイル)= 継続 (進行)

に該当するので、継続を表します。
つまり上の訳文は、厳密に言うと「誰かが現在サイトを作成中でない限り、サイトリストは空になってしまいます」という意味になります。
もちろん、文脈等で読者が正しい意味に解釈してくれることは多いかと思いますが、翻訳をする以上はしっかり意味が伝わるように
「サイトが作成されていないと、サイトリストは空になります」とすべきだと思います。
以上 3) 「目的語の状態変化を表す動詞の受動形 + テイル」の例でした。

さまざまなところに出現する「テイル」。
特に翻訳の文を見ていると、訳文の体裁を整えるためか意味の無いような「~しテイます」とか「(もの)となっテイます」とかが目につきます(「となります」「なのです」もそうですが)。
その「テイル」がどういう意味なのか、そして正しく使われているのか、いちど考えてみませんか?


それではまた。よさこい。よさこい。

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