tosa

【第五回】「タ形」と「ル形」

2018.03.02


さて今回は最初に問題です。
次の英文の訳として、正しいのは(1)と(2)のどちらでしょう。

When Japanese office workers are back home, most of them take a bath before everything.

日本のサラリーマンは、家へ

(1)戻るとき
(2)戻ったとき


まず風呂に入る人が多い。


皆さん間違える人はほとんどいませんね。
でも、日本語を習いはじめの私の友人は、上記の英文が頭に浮かんだときは、躊躇なく(1)を選んで、

「日本のサラリーマンは、家へ戻るときまず風呂に入る人が多い(デス)。」

などと口にします。
それを聞いた私は、職場で風呂に入ってから退社するってどんな会社だろう、としばらく頭の中が疑問符だらけになります。

理由はこうです。
私達が英語を習ったときもそうでしたが、外国人学習者が日本語を習うとき、「タ」は過去、「ル」は現在、と習います。時制と「タ」形、「ル」形は本当は違うのですが、似ているからそういう習い方(教え方)をします。

そして英語では「条件や時を表す副詞節は現在形を使う」ので、
彼女は「~workers ARE back home」を
「家に戻ルとき」として(1)を選び、
「日本のサラリーマンは、家へ戻るときまず風呂に入る人が多い(です)。」としてしまいます。

次の例も同じです。

If it rains tomorrow, I will go the movies.
これも彼女は「明日雨が降ルなら映画に行きます」と言いますが、日本語で育った人なら、普通「雨が降っタ(な)ら」としますね。

さてでは、次はどうでしょうか。

When you select the Header mode, the selected column is removed from the chart, and replaced by a header.
これを、「ヘッダーモードを選択する場合は、選択した列が表から削除されヘッダーに置きかわります」
などという訳がついているのを時々見かけます。

当然、

ヘッダーモードを選択しタ場合は~

でないといけないのですが、私達も「タ」は過去、「ル」は現在と教わっているので、少し英文の内容が込み入ってくるとついつい現在形の select を「選択する場合」としてしまいがちです。
しかし、「タ」形か「ル」形かは過去か現在かの区別ではありません。

たとえば、誰かが

「バスが来タ」と言った場合と
「バスが来ル」と言った場合を

思い浮かべてみてください。これは両方ともまだ到着していないバスについての発言であり、過去のことではありません。
違いはその「来る」という動作が完了しているかどうかにあり、「タ」形か「ル」形かは、「完了」か「非完了」かの違いです。

したがって、先の例文で言えば、

ヘッダーモードを選択する場合は~
というのは、まだ「選択」が完了していない事態を示すので、

ヘッダーモードを選択する場合は、あらかじめそのファイルを
などと続かないとおかしいことになります。

小さいことのように見えるかもしれませんが、「タ」形と「ル」形を間違えると、

日本のサラリーマンは、家へ戻るときまず風呂に入る人が多い
のように意味が全く違ってしまうので気を付けてください。


ところで、先ほどの訳としてはちょっと不適切だった

「明日雨が降るなら映画に行きます」

という文もそれ自体としては間違った和文ではありません。
「ルなら」は、「現実とは一応独立した、仮の事態の依存関係を提示する」ものなので、「明日雨が降るかどうかわからないが、仮にそういう事態になったら、映画に行く事態が生じる」ということを表します。

たぶん英語では
If it rained tomorrow, I would go to the movies.
などというのだと思います。

あれ、条件や時を表す副詞節の中に過去形が入っているのかな.......。
だから英語は難しい。

それではまた。よさこい。よさこい。

お問い合わせ
Copyright(c) 2015 Software Engineering CO.,LTD.